利用者増で過密化●東京新聞

東京新聞で、学童にかんする連載(3回)がありました。
我が家も、学童探しをする過程で、「過密化、定員過剰」を理由にして一カ所入所を断られた経験があります()。また、そんな横浜の学童保育の少なさ・不便さに、一時は都内への引っ越しも考えましたが、都内の学童を調べても、記事にあるように定員のある学童では待機児童がうまれている現状を知り、どこへ行っても同じか…と悲しくなりました。
そんな学童をめぐる現状がよくわかる記事です。

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どうなる学校 学童保育の現状(上)
利用者増で過密化
<2008年11月4日 東京新聞>

 放課後児童クラブ(学童保育)は、昼間家庭に保護者がいない子どもたちが集う場だ。最近、そのニーズが急増、だが整備が追いつかず、人材や財源確保も綱渡り。放課後の学校に居場所を設ける「放課後子どもプラン」との連携も分かりにくい。現状を報告する。 (井上圭子)

 「いただきます」
 おやつの時間が始まった。学校の教室ほどの大きさの育成室で、約七十人の子どもたちは、隣の子と肩を寄せ合うようにテーブルについた。
 ピーナツバターが塗られたパンとみかん、ジュースをほおばり、子どもたちがじっとしているわずかな間、指導員は一斉に保護者への連絡帳に今日の様子を書き込み始めた。
 東京都府中市の市立第三学童クラブ。児童百二十人を六人の指導員がみるマンモス学童保育だ。育成室は三カ所あるが、全員が室内で過ごす雨の日などは、床に本を広げるスペースもなくなる。
 ここと隣接の校庭で子どもたちは、放課後から午後六時まで、時間割に沿って集団で遊ぶ。班ごとの団体行動が基本だが、本来学童保育は思い思いに過ごす「生活の場」だ。「本当は部屋で本を読みたい」とぼやきながらみんなと屋外へ行く女子児童もいた。
 「これだけ多いと事故防止など安全管理に気を使う。子どもたちがバラバラに遊んだら目が届かない」と指導員の山口歩さんが話すように、通所児童増で安全管理が最大の課題になった。
 保護者も「目が届くか心配」「子どもが体調の悪い時に静かに休める場がない」と過密化に不安を隠せない。
 同市の戸井田昭次・児童青少年課長は「増設や改築で、通所できない待機児のゼロを堅持してきた」と話すが、「マンション建設ラッシュで利用希望者は増加の一途。財政負担は重く、どこまで増えるか正直怖い」と厳しい事情を明かす。
 学童保育の利用希望者は増加する一方だ。厚生労働省によると、全国の学童保育施設数は本年度約一万七千五百カ所、十年前から約八割増えた。通所する登録児童数も本年度は約七十九万五千人で、十年前の約二・三倍。大規模施設と定義される登録児童七十一人以上の施設比率は今年14・2%、十年前の四倍強。待機児童数も本年度は一万三千人に上る。
 利用者増について、全国学童保育連絡協議会の真田祐事務局次長は「共働き家庭やひとり親家庭の増加。さらに子どもが被害者になる事件の続発で、自宅で一人で留守番させられないと考える保護者が増えた」と指摘する。特に都市部ではその影響で「定員がない施設では過密化・大規模化が進み、定員のある施設では待機児が増えている」と話す。
 「潜在ニーズは高い。まだまだ足りない」と真田さんは言う。
 国は「新待機児童ゼロ作戦」を掲げ、登録児童数定員を十年後に百四十五万人増やす計画だ。だが、施設増設には、人材や財源確保が課題として立ちはだかる。

<放課後児童クラブ>
 働く両親やひとり親家庭の小学生が放課後に過ごす「生活の場」。夏休みなどは朝から通所する。利用料は月数千円が多い。1940年代、保護者たちの自主運営で始まり各地で独自に発展。現在は自治体や地域・保護者らなど運営主体は幅広い。91年、国も必要性を認め補助金制度を創設。97年の児童福祉法改正で「放課後児童健全育成事業」として社会福祉政策に位置づけられ、国と自治体に一定の設置・運営責任が生まれた。

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