学童父母だからこそ

横浜では、キッズクラブ設置に伴い、親子自らが学童クラブを離れてキッズクラブへ移行する動きが一部にあること、その背景について「親の考え方や望むものがいろいろであるから」というふうに、私は「親の共通認識」で書きました。

でもでもでも…、やっぱり子どもの放課後をめぐる問題を「親の考え方や望むもの」といった問題で片付けてはいけないと思います(というか、思い直しました)。

そうではなく、我が家がそうであったように、実際にキッズクラブ(全児童対象事業)を体験してみないと、それがどれだけ学童クラブとかけ離れたものであるか、普通はわからないはず。

キッズクラブに移行しようと考えている親のなかには、「きっと学童とそんなに変わらない」と思っている人も少なくないと思います。

東京都の世田谷区では数年前に「新BOP」という全児童対象事業を区が設置し、学童クラブ(ほとんどが区立)はそれと一体化され、「新BOP内学童クラブ」という形に移行したそうです(詳しくは世田谷区学童保育クラブ父母会・「世田谷区の学童保育は?新BOPの経過と課題」)。

もちろん設置する前にも反対の声は強くあったそうですが、実際に設置されてみて、親たちが見たものは…

留守家庭の子どももそうでない子どもも入り乱れた状況、職員も削減。子どもに目が行き届かない、親とのコミュニケーションも不足する…「学童クラブの子どもたちに対するケアーは低下し、学童クラブ独自の行事はほとんどできなくなりました」(「同上」)

世田谷の学童クラブの父母たちは、実際に、つらい体験を経て、自分たちが守ってほしい学童的機能を明確(下記)にし、その学童的機能が守られ&充実させられるように、区と何度も何度も交渉を重ね(今でも)、いくつかの要望を実現するに至っているそうです。

横浜でも、昨年「学童でよかったこと」をアンケートにして集め(我が家も書きました)、冊子にしたそうです。

キッズクラブが拡大していく(市は全小学校に設置する方向)ことをきっかけにして、横浜でも、学童とは何か、学童であることの意味は何かを、学童クラブを体験した親たちだからこそ、もっともっと話し合っていかないといけないと思う今日この頃です。

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私たちの考える「学童クラブ機能」 (世田谷区学童保育クラブ父母連絡会)

学童クラブは、子どもたちの「生活の場」です。特に理由がない限り「行かねばならない場所」です。来るはずの 子どもが来ない場合、指導員と親が連絡をとり、子どもたちの安全を確認します。行っても行かなくてもよい「遊び場」であるBOPでは、これは必ずしも必要がなく、行われません。 

学童クラブでは、子どもたちの心・身体の状態に継続的な目配りがされ、異変を早期に見つけ、指導員と親が連 絡をとりあって対応します。連絡帳がないBOPでは親からの連絡は困難ですし、継続的に接していないと日頃の変化もわかりません。 

学童クラブでは、子ども同士が互いに関わりながら成長します。一緒に遊ぶ点はBOPも同じですが、子どもたちの関わり合いを継続して見ている指導員により、『遊び』以外の、子どもの状況に適した対応もとられています。また、いじめ・けんか等に際して、適切な対応が可能です。子どもの状況をよく理解しないのでは、これは望めません。 

学童クラブがこのような機能を果たしてくれるからこそ、さまざまな問題が起こっている中、父母たちも安心して働くことができます。「少子化」対策、「子育てと仕事の両立」支援の上で、学童クラブは、なくてはならない事業です。働く女性を支え、男女共同参画社会を実現する上でも不可欠な事業です。 

学童クラブの機能は、「出欠確認(居場所確認)」「連絡帳による連絡」「補食の提供」など外形でとらえられる行為だけではありません。子どもひとりひとりの心身の状況、子ども同士の人間関係等に応じ、適切に働きかけつつ子どもたちの健全な成長を促す「保育」の機能は、学童クラブの機能の極めて大事な柱です。私たちは、こうした実質的な機能が希薄化しつつあることを心から憂慮しています。 

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